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後部座席のシートベルト未装着で過失割合増加~具体的事例


 前回のコラム(福岡の後部座席シートベルト着用率~未装着の場合の事故での影響)に引き続き、後部座席のシートベルトの着用について解説いたします。


 交通事故Q&A【後部座席でシートベルト未装着の場合、過失割合は変化しますか?】で述べているとおり、後部座席のシートベルト未装着が過失割合で考慮されるとする判決が続々と出ています。


 過失割合が10%違えば、治療費や慰謝料なども10%が自己負担となり、重大事故では、賠償金に一千万円以上の差が生じることもあります。(※重大事故とは、高次脳機能障害遷延性意識障害などを指します。)


 以下では、具体的な判例をご紹介いたします。


平成26年10月1日神戸地裁判決

 交差点にてタクシーと赤信号無視の加害車両とが出合い頭に衝突した結果、タクシー後部座席に乗車していた被害者が右肩腱板損傷等の傷害を負い(残存する右肩の疼痛について後遺障害等級14級認定)、加害者に対して損害賠償請求した事案で、裁判所は次のとおり判示しました。


 タクシー運転手及び加害者のいずれも受傷しなかったにもかかわらず、「原告は本件事故の衝撃で後部座席を左側から右へ移動し、右半身がドアに打ち付けられて右肩腱板損傷、顔面打撲等の傷害を負ったことからすると、原告がシートベルトを着用していなかったことが原告の傷害の発生ないし拡大に寄与したことは否定できない。」


 「また、後部座席におけるシートベルト着用の義務については、道路交通法上明らかなだけでなく、一般にも広く周知されているところであり、タクシーの乗客である原告も自己の判断においてシートベルトを着用すべきであったというべきである。~(中略)~このようなことからすると、原告においてもシートベルトを着用しなかったことについて落ち度があったことは否定できず、過失相殺として、損害の10%を控除するのが相当である」としました。


平成26年7月25日大阪地裁判決

 タクシー後部座席に乗車していた被害者が、タクシー運転手の急ブレーキにより後頸部痛等の傷害を負い(残存する後頸部痛について後遺障害等級14級認定)、タクシー会社に対して損害賠償請求をした事案で、裁判所は次のとおり判示しました。


 「被告は、被告車両の後部座席ドア内側に『安全のためにシートベルトをおつけください』と記載されたステッカーを貼付していた。~(中略)~運転者には、後部座席に乗車する者についても、シートベルトを装着させる義務が定められている(道路交通法71条の3第2項)。」


 「被告は、乗客の目につきやすい箇所にステッカーを貼付することで装着を促したのに対し、原告は、シートベルトを装着しなかった。~(中略)~シートベルトを装着していれば、急ブレーキにより腕や体が運転席にぶつかるようなことにはならなかったものと認められ、本件事故による原告の傷害も軽減された可能性が高い。以上によれば、原告がシートベルトを装着しなかった点について過失相殺をなすべきである」として、10%の過失相殺を行いました。

平成26年3月17日釧路地裁判決

 タクシー運転手がてんかんを発症して単独事故を起こしたことにより、乗客であった原告が右上腕骨骨折等後の右肩関節機能障害(後遺障害等級10級)を残し損害賠償を請求した事件で、裁判所は次のとおり判示しました。


 「後部座席におけるシートベルトの着用も義務化されており、同乗者としても自らの生命・身体を保護するためシートベルトを装着すべきであると考えられるから、本件においては、原告によるシートベルト不装着の事実を過失と見て過失相殺すべきである」として、シートベルト未装着による5%の過失を認めました。


 ※シートベルト未装着の過失の基本的な考え方については、弊所Q&A【シートベルト未装着の場合、過失割合はどうなりますか?】をご覧ください。


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1 コラム執筆にあたって

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