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地震で自動車が故障した!自動車保険は使える?

 地震で自動車が故障した場合や交通事故を引き起こした場合などに、自動車保険は使えるのでしょうか。

車両保険は使えるか

 まず想定されるケースは、地震により車が故障してしまったような場面で、車両保険が使えるのかということです。

 車両保険は、衝突、接触、墜落、転覆、物の飛来、物の落下、火災、爆発、盗難、台風、洪水、高潮その他「偶然な事故」による自動車の損害を担保する保険(損害保険料率算出機構提供の標準約款車両条項2条(1))として、火災、台風等の自然災害でも適用されるものであることから、地震の場合でも適用されるようにも思えます。

 しかし、一般的な車両保険では、免責事由(保険金が支払われない事由)で地震を原因とした車の損害には保険金は支払われないとされています。

※参考(※基本的に他社も同様の規定があります)

 東京海上日動トータルアシスト超保険 2016年4月1日始期契約

 車両保険第3条保険金をお支払いしない場合

 (1)当会社は、下表のいずれかに該当する自由によって生じた損害に対しては、保険金を支払いません。

 ③ 地震若しくは噴火またはこれらによる津波

対人、対物賠償責任保険、人身傷害補償保険等は使えるか

 地震はいつ、どこで起きるかはわからないため、車を運転中に地震に遭うこともあると考えられます。

 地震の揺れの影響でハンドル操作を誤るなどして、他の車に衝突し他人に怪我をさせてしまう、自分が怪我をしてしまうなどした場合、対人、対物賠償責任保険や人身傷害補償保険を使うことはできるのでしょうか。

 残念ながらこの場面においても、一般の自動車保険は、地震を原因とした交通事故の場合に対人、対物賠償責任保険、人身傷害補償保険は使えないとされています(車両保険と同内容の記載があるのが一般的です)。

 そもそも、自動車保険において、地震による事故が免責事由として定められているのは、地震の場合、巨大な損害が発生する危険があり、保険法の原則である収支相等原則(保険契約者から支払われる保険料と保険会社からの支払額が等しくなるように保険を運営するという原則)に従うと、保険料が高額になってしまったり、危険が大きすぎて保険会社の引受能力を超えてしまったりすることが理由とされています。

「地震」とは?

 個人賠償責任総合保障特約の事例ではありますが、地震免責における「地震」の意義について争われた裁判例があります。

 東日本大震災発生時に東京で排水管に亀裂が生じた事案で、免責される「地震」というのはどの程度の規模のものをいうのかが争われた事案です。

 第一審(東京地裁平成23年10月20日判決・判時2147号124頁)は、地震免責条項にいう「地震」とは、通常想定される危険の範囲を超えて大規模な損害が一度に発生するような「巨大な地震」に限られる、と限定解釈しましたが、控訴審(東京高裁平成24年3月19日判決・判時)2147号118頁)では、第一審のような限定解釈はされず、地震と相当因果関係のある損害であれば地震免責条項の対象となる(保険金は支払われない)と判断しています。

地震でも支払われる自動車保険がある?

 以上からすれば、自動車保険ではどのような場面でも保険金は支払われないようにも思われますが、特約の中に地震に対応したものがあります。

 地震を原因として車が故障した場合も車両保険を適用させる特約として、「地震・噴火・津波車両全損時一時金(定額払)特約」があります(保険会社によって名称が異なります)。

 この特約加入している場合、車の故障の原因が地震であっても、全損となった場合50万円を上限として支払われます(車両保険の保険金額が50万円に満たない場合には、保険金額が上限となります)。

 これは、2011年の東日本大震災で、津波による車両損害による被害が甚大であったことを契機にして設計された保険です。

 なお、これまでの説明はあくまで、自動車保険に関するものですので、地震保険の特約としての車両地震特約により地震を原因とする車の故障に対応される場合や、日常生活における傷害保険等が適用される場面もあることもありますので注意が必要です。

 将来の備えとして災害時のご自身の保険についての補償内容を確認、見直すきっかけの一つにもなれば幸いです。

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