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改正保険業法施行と保険手数料の開示

 2016年5月29日、改正保険業法が施行され、保険代理店に求められる体制整備義務が強化されています。

 そして、先月、金融庁が銀行窓口販売の保険商品について、2016年10月に予定していた手数料の開示を見送る方針を固めたというニュースがありました。

 マイナス金利政策導入の結果、銀行が、利益率の高い保険販売が増加に伴い、金融庁は、金融機関が個人に保険商品販売の際に手数料を開示させるという方針を2016年3月に決定していました。

 この動きは、金融庁が、銀行は顧客のニーズに合致せずに販売手数料が高い商品を優先的に販売しているのでは?と懸念していることからです。

 しかし、結局、乗合代理店等が手数料を開示していないこと等を理由とした銀行業界による強い反発により、見送られた結果です。

 ちなみに、改正保険業法の元となったといえる保険商品・サービスの提供等のあり方に関するワーキング・グループにて代理店手数料の開示義務について議論はされていました。

 これについても、乗合代理店による手数料本位の募集・販売を危惧しての問題意識です。

 同ワーキング・グループの報告書(平成25年6月7日)では、

 「手数料の開示については、上記のような見直しを通じて、乗合代理店 による保険商品の比較販売について、一定の適切な体制が整備・確保されると考えられることから、現時点において、一律にこれを求める必要はないと考えられる。」

 とされ、現時点では内部統制義務により適正な比較推奨販売により規制することで足りると判断されています。

 もっとも、同報告書は続いて

 「ただし、比較販売手法について問題が存在するおそれがある場合などには、必要に応じて、乗合代理店に支払われる手数料の多寡によって商品の 比較・推奨のプロセスが歪められていないかについて、当局の検査・監督によって検証を行うことが重要である。」

 との記載がある点は注意が必要です。

 手数料本位の募集・販売がなされていないかについては、内部統制に関連して今後も金融庁にも強い問題意識があると思われます。

 改正保険業法により保険代理店の体制整備義務が強化されましたが、上記のような流れからすれば、体制整備が不十分であれば開示義務等の設置も含めたさらなる強化もありえるところです。

 今回の金融庁の方針は銀行窓販に関するものですが、今後は代理店等手数料の開示の範囲は広がっていくことが想定されます。

 手数料開示に流れにより、代理店手数料水準の低下等、手数料体系が変化していくことが予想されるところです。

 また、保険代理業関係者の中には、EUの動きなどを踏まえて、金融商品の色合いが強い生保の特定保険契約のような一部の保険商品等から手数料率の開示が始まるかもしれないとの見立てもあります(栗山泰史日本損害保険代理業協会アドバイザーによる講演H28.1.13))。

 改正保険業法成立から準備期間は長かったものの、まだ改正保険業法が施行されてまもなく、まだその実務上の問題点が浮かび上がっていない部分もありますが、今後も金融庁の方針、監督指針改正等には注意が必要です。

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