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弁護士法人 たくみ法律事務所

【事務所コラム】取材を受けて、ヤフーニュースに配信されました!

悪質な自動車事故「厳罰化」法案が成立へ「病気」に関する条項は必要か?

 当事務所の代表弁護士宮田が、交通事故に関する法改正について、取材を受け、ヤフーニュースに配信されました。

 『 悪質な自動車事故「厳罰化」法案が成立へ 「病気」に関する条項は必要か? 』
※本記事はヤフーニュースの掲載期間が終了しましたので、当ページでご紹介します。

悪質な自動車事故「厳罰化」法案が成立へ
「病気」に関する条項は必要か?

 悪質な自動車運転によって死傷事故を起こした場合の罰則を強化する法案が11月5日、衆議院本会議で全会一致で可決された。今月中旬にも参院で可決、成立する見通しだ。その柱の一つとされるのが、飲酒などの影響により死傷事故を起こしたときに、従来よりも重い刑罰が科されるようになった点だ。

 通常の自動車事故の場合は懲役7年以下という罰則だ。しかし、飲酒や薬物使用、特定の病気の影響により「正常な運転に支障が生じる恐れがある状態」で事故を起こした場合、死亡事故は懲役15年以下、負傷事故は懲役12年以下と「厳罰化」されるようになる。

 ただ、飲酒や薬物使用による死傷事故の厳罰化はともかく、「特定の病気」も含めることには反対意見もある。具体的な病名は政令で定めることになるが、てんかんや統合失調症などが想定されているという。これに対して、日本てんかん学会や日本精神神経学会などは、病気に関する条項を削除するよう求める要望書を提出しているのだ。

 なぜ、今回の法案に病気に関する条項が含まれることになったのか。また、そこにはどのような問題があるのか。重大な交通事故案件を多く扱う宮田卓弥弁護士に聞いた。

今回の法案の背景

 今回の法案に病気に関する条項が含まれることになった直接の背景には、平成23年に栃木県鹿沼市で発生した、てんかん発作をおこしたクレーン車の加害者(運転手)による6名の児童の死亡事故と考えられます。

 同事故での、クレーン車を運転していた加害者はてんかんの持病があり、事故当時、有罪判決を受け事故執行猶予中でした。加害者は運転免許の取得、更新の際に持病を申告せず、薬の服用を怠っていたため、危険運転致死罪(最高刑・懲役20年)の適用が検討されました。しかし、同罪の処罰対象である故意による無謀運転であるのかがが問題となり、結局、同罪の適用は見送られ、自動車運転過失致傷罪(最高刑・懲役7年)で処罰されました。

 この結果に対し、遺族らはあまりにも軽すぎる刑であると指摘し、法改正を求めていました。

 今回の法案では、「病気の影響」で正常な運転が困難になったケースなどを、新たに新設した自動車運転死傷行為処罰法で問えるようにし、最高刑を懲役15年としています。対象となる病気はてんかん、統合失調症などが想定され、今後政令で定めるとしていまいます。

 交通事故被害者やご遺族にとっては、無責任な運転者による重大事故であっても、刑法での危険運転致死傷罪(最高刑・懲役20年)では、鹿沼市の事故のように、適用の条件をみたすのが難しく、厳罰にできないとされていました。ですが、今回の法案では、鹿沼市の事故でも適用され、同法案で処罰できるといえます。

 その意味では、今回の法案は、刑罰に被害者の意向を重視しようとする最近の傾向に沿った形といえます。

特定の「病気の影響」を盛り込むことの問題点

 しかし、運転に支障を及ぼす可能性のある病気はてんかんだけに限らず、てんかんという特定の病名を取り上げて処罰の対象とするのは、差別の助長化を招くという懸念があります。

 しかしながら、新しい法案は、特定の病気を理由にのみ処罰するのではありません。たとえば、てんかんの持病を申告をせずに運転免許を取得し、服薬を怠って運転し、てんかんが発症して運転が困難になった結果、人を死傷させた場合に、新しい法案の処罰対象になると考えられます。

 ただ、新しい法案では特定の病気だけを理由に処罰されるという誤解が国民の間で生じてしまうことは、かえって特定の病気の差別を助長してしまう結果を招くというのが真の問題点ではないかと私は考えます。

 ですので、新しい法案が、特定の病気のみを理由として処罰するのではないという周知が必要であり、私の一文がそのきっかけになることを望みます。

【取材協力弁護士】

宮田 卓弥(みやた・たくひろ)弁護士

福岡県弁護士会所属(平成14年弁護士登録)

福岡を中心に九州の被害者の交通事故事件を多数扱う。特に、事故直後から後遺障害の賠償に力を入れている。

事務所名:弁護士法人たくみ法律事務所

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