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交通事故において飲酒運転は必ず過失に影響するのか

 先日、交通事故被害者から依頼されている事件で、依頼者が飲酒運転をしていた可能性は否定出来ないが、過失相殺は認めない、つまり、「被害者は飲酒運転をしていたが、過失はない」という内容の判決を取得しました。

 交通事故賠償実務において、過失割合の参考にされる「別冊判例タイムズ38号」という本がありますが、これには事故類型別に基準が定められています。

 その基準となる過失割合についてはどの類型においても「重過失」がある場合、20%程度、基本過失割合から修正がなされるようになっていることが多くあります。

 その「重過失」とは、「著しい過失」よりも更に重い、故意に比肩する重大な過失をいい、その典型的な例として、飲酒運転などがあげられます。

 つまり、通常飲酒運転をしていた場合には、それを理由に基本過失割合から、一定程度飲酒運転していた方の過失割合を増修正して解決することになります。

 しかし、事故において、被害者にも一定の過失が認められ、過失相殺されるのは、その行為によって事故が起きることを想定し回避できるはずなのにその行為をしてしまったからです(過失の概念は難しいですが、わかりやすさのため簡略化しています)。

 通常、飲酒運転の場合、お酒の影響により反応が遅れたり、スピードを出してしまったりするので、飲酒の影響で事故が起きている、つまり過失があるといえることが多いですが、本件事例では飲酒が事故に結びついているわけではありませんでした。

 つまり、本件事故は加害者の一方的な過失によって発生したということです(特定を避けるため、詳細には説明できませんが、追突等の典型的な過失割合100対0事案ではなく、相手方も50対50を主張していました。)。

 当然、過失が0であっても、飲酒運転の場合には、刑事や行政上の処分を受ける可能性があります。

 今回で私が言いたいのは、決して、「飲酒しても責任を問われない可能性があります」といった法律の抜け道指南のような下劣な話ではありません。

 飲酒運転の交通事故で過失がないとされるのは、例外的な場面であり、決して一般化して理解されないようにしていただきたいのですが、過失の判断というのは、「飲酒」=「過失」といったような短絡的な判断ではなく、本当にその要素が原因で事故が引き起こされたのか、その要素がなければ被害者は事故及び損害の拡大が回避できたのかという点について、厳密に検討することが重要です。

 当該事件は、交通事故問題に特化した裁判所判例集である自保ジャーナル(自動車保険ジャーナル)に掲載されました。詳しくは、交通事故専門の判例雑誌に掲載されました!をご覧ください。

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