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交通事故加害者の処罰-被害者参加で想いは伝わるか?

 今回は、交通事故加害者の刑事裁判に、被害者の家族に替わって参加し、想いを伝えたときのことについて、お話します。

加害者の無罪主張

1.加害者側の主張

 被害者の方が交通事故によって脳を損傷して重度の後遺症が残り、とても喋れるような状態ではなくなりました。

 回復の見込みもないと言われ、永年に渡る長い入院生活を送ることになってしまったため、被害者のご家族から相談を受けました。

 加害者の刑事処遇については、目撃者探し等で捜査が長引いており、やっと刑事裁判となったのですが、裁判の初日、被告人(加害者)は「無罪」を主張しました。

 「無罪」と言って想像するのは、通常、「やったのは私じゃない」という主張だと思います。しかし、今回の主張は、「やったのは私だが、私は悪くない、したがって無罪である」というものでした。

2.被害者側の心情

 被告人は事故後、ご家族のひとりに1度か2度会ったきり、顔を見せていませんでした。加害者の顔を1度も見たことがないというご家族もいました。

 自分の家族に大怪我を負わせ、それまでの生活を壊した加害者を初めて、又は数年ぶりに見たとき、突然、このような主張を聞かされた、傍聴席に座るご家族の心情は、到底、穏やかではいられませんでした。

 私が被害者側の代理人弁護士として被害者参加し、刑事裁判の審理に関与することになりました。

被害者参加手続きでの活動を通して

1.被害者参加での活動

 被害者参加では、被告人質問などを通し、加害者に聞きたい質問や被害者側の感情を直接ぶつけることができます。

 検察官と打ち合わせができ、また、裁判所も、被害者側の意見を聞いたうえで、通常の事件と比べて、丁寧かつ慎重に判断を下すことになります。

 今回の事件の被告人質問でも、被告人がどのように考えているのか聞きながら、被害者やご家族が立たされている境遇を伝え、ご家族の思いを代弁しました。

 また、被害者の意見をまとめて意見陳述書を提出し、裁判所で朗読してもらいました。

2.意義

 私としては、交通犯罪の場合は特に、被害者側の気持ちを直接伝える、被告人に被害者側の境遇を分かってもらう、といった手続きには、それ自体、被害者側の感情の整理にとっても、被告人の反省や再犯の防止にとっても、一定の意義があるのではないかと感じました。

 交通事故の多くは、知らない者同士の間で起こり、その後の被害弁償等のやりとりについても、保険会社に対応を任せておくことができるため、加害者が直接被害者と関わることのないまま済ますことが出来てしまうからです(保険制度を批判する趣旨ではありません)。

 今回の事件でも、加害者は、被告人質問まで、被害者がなお入院生活を送っていることなどの具体的状況を知りませんでした。

 今回は、裁判が終わった直後、加害者が初めて謝意を伝えに来ました。

交通犯罪の処罰について

1.交通犯罪の量刑

 一方で、交通犯罪の場合、被害者やそのご家族は判決の刑罰に関しては「被害者側の意見が思うほど反映されない」と感じるかもしれません。

 というのは、被害者の処罰感情は、量刑(刑の重さ)を決定する上での考慮要素のひとつではあるのですが、死亡事故でさえ罰金刑や執行猶予付きの判決にとどまることが多いのが交通犯罪の実情だからです。不起訴となり刑罰が科されないものも多くあります。

 実刑で懲役となるのは、事故自体が飲酒運転、無免許運転、ひき逃げ等の悪質な場合に限定されています(※詳しくは犯罪白書参照)。

2.理由

 今回の事件の判決としては、加害者の無罪の主張は通らず有罪となり、執行猶予付きの懲役刑が下りました。

 交通犯罪の厳罰化が叫ばれているとはいえ、通常の事件(殺人、傷害致死等)と比べて刑が軽い理由としては、わざとやったというわけではなく、だれもが加害者になる可能性を内包している点などにあります。

 刑罰は、基本的には犯罪行為に対応する処罰です。たとえ加害者に一切の反省の色が見えないとしても、不注意による事故犯罪である限りは、殺人や傷害致死等のような犯罪と同等の罰を科すわけにはそうそういきません。

 被害者側の立場からすればやるせない気持ちになることもあるでしょうが、厳罰を求めたとしても、現状、その処罰にはおのずと限界があります。

3.民事裁判について

 そのような意味では、「厳しい刑事上の処罰を求める」というよりも、不誠実な態度の加害者に対しては「厳しく民事責任を追及する」「多くの賠償金を獲得する」ということに気持ちを切り替えたほうが良いかもしれません。

 刑事裁判において知り得た情報は、民事裁判でも有用であり、加害者が、民事裁判で「自分にスピード違反は無かった」と主張したとしても、それ以前の刑事裁判において「スピード違反があった」と供述している場合、民事裁判での主張を排斥することができます。

 加害者が反省の色の見えない言動をしている場合には、民事上、そのことによる慰謝料の増額を追及することができます。

4.総括

 制度化されてからも様々議論がなされている被害者参加制度ですが、交通犯罪に関しては、以上のような一般犯罪と異なる特徴があることから、少し土俵を変えて議論をした方がよいと思います。

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