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弁護士法人 たくみ法律事務所

傷害事故の損害賠償

※令和2年4月1日以降の交通事故について慰謝料の自賠責基準が4,200円から4,300円、休業損害の自賠責基準が5,700円から6,100円へと引き上げられています。

傷害事故で請求できる損害賠償項目

 傷害事故の場合の賠償額の計算は、以下の項目の合計額です。

治療関連費
治療費・付添看護費・入院中雑費・通院交通費・装具代・家屋改造費など
休業補償
事故で減少した収入の補償
入通院慰謝料
受傷(入通院)による精神的苦痛の補償。
入通院期間と傷害程度による基準がある。
逸失利益
残りの人生で予想される収入減少の補償。※事故前年収入や労働能力喪失率を基準に算定
後遺障害慰謝料
後遺障害による精神的苦痛の補償。
後遺障害の等級による基準がある。

治療費

 治療費として認められるのは「必要かつ相当な範囲」とされています。

 つまり、場合によっては不必要な治療とみなされてしまい、過剰治療として賠償金の請求ができません

 後遺症が残る場合、症状固定後の治療についても請求することができません。

医師の指示以外の治療費は認められない

 鍼灸、マッサージ、治療器具、薬品代、湯治などについては治療費として認められない場合もありますが、いずれも医師の指示があり、有効な場合には治療費として認められます。

 これらの治療を受ける際は、医師の指示を事前に受けておくことをお勧めします。

症状固定後や将来の治療費を認められる場合もある

 これ以上病状がよくならない(症状固定)と判断された後でも、病状や治療経過などにより保険会社からの治療費の支払いが認められる場合もあります。

 たとえば、遷延性意識障害(植物状態)の被害者の特別室やベッドの使用料が認められることがあります。

 保険会社は、治療が継続している場合でも、「不必要な治療」として治療費の支払を打ち切り、打ち切るまでの治療費のみを保険会社負担分の治療費として提示することがあります。

 しかし、「不必要な治療」かどうかに関して保険会社の判断が必ずしも正しいわけではなく、実は請求できた、ということもあるので注意が必要です。

付添看護費

 交通事故の被害者が、入院や通院をする際に付添看護の必要があれば、医師の指示がなくても状況によっては認められる場合があります。

 付添看護費は大別して以下の2つがあります。

職業付添人

 病院や専門機関から派遣されるプロが付き添う。

近親者付添人

親族や知り合いが付き添う。

 職業付添人の場合には全額が認められますが、近親者付添人の場合にはその上限が決まっています。

 たとえば、入院の付添の場合、自動車損害賠償席保険の支払い基準では1日4,100円とされており、保険会社が呈示する金額はこの基準を元に決めております。

 一方、弁護士が交渉する場合の基準では1日5,500円~7,000円を基準としています。

将来かかるであろう費用も前払いでもらえる

 被害者が重度の後遺障害によって将来にわたり付添看護が必要な場合には、原則として平均寿命までの将来の付添看護費を請求することができます。

 職業付添人の場合には実費相当分の全額が認められます。

 また近親者付添人の場合でも1日6,500円~8,500円と基準が定められています。

入院中雑費

 入院雑費とは入院中にかかるパジャマやテレビなども当てはまります。

 主なものは以下のとおりです。

日用品
寝具やパジャマ、下着などの衣類や歯ブラシなどの洗面具、食器など
栄養補給費
入院中に必要とされる牛乳やヨーグルトなど
通信費
入院中に家族や知人、仕事先にかける電話代や手紙代など
文化費
入院中に購読する雑誌や新聞、ラジオやテレビなどの賃借料なども当てはまります
家族通院交通費
家族が身の回りの世話をする場合の交通費

 ただし、保険会社が呈示する自賠責の基準は原則として1日あたり1,100円、弁護士が交渉する場合の金額は目安として1日あたり1,400円~1,600円という上限が決まっております。

 また、医師への謝礼が認められたケースもあります。

通院交通費

 交通費としては原則は電車・バス代などですが、理由に妥当性があればタクシー代も認められます。

 タクシーの領収証は、保険会社との交渉に必要なので保存しておきます。

 また電車やバスなども交通機関の利用については、実際に使用した金額をその都度ノートなどに記録しておきます。

 車の場合はガソリン代、高速道路代、駐車料金なども認められます。

装具費・家屋改造費

 被害者の後遺症によっては、家の床・出入り口などの改造をしたり、特殊なベッドや椅子を購入する必要が出てきますが、これらの費用も認められます。

 保険会社が呈示する金額の基準となる自賠責保険には特に明記はされておりませんが、日弁連の基準では実費分が認められるとされています。

 その他、子供の学習費や弁護士費用、保険金が支払われるまでの遅延損害金なども認められます。

休業補償

 休業補償とは、交通事故により仕事を休んでしまったために得られなかった賃金や収入を補償するものです。

 自賠責基準では1日あたり原則5,700円と定められていますが、弁護士が交渉する場合の基準と比べて低いため注意が必要です。

休業補償費の算定方法

 休業補償は1日あたりの補償額と休業日数を掛け合わせて算定されます。

 また職業によってもその算定方法は変わってきますが、それは以下のとおりです。

給与所得者

 事故前の給与額を元に算定されます。

 休業していたとしても全額の給与を受けていれば認められません。

事業所得者

 事故の際、現実に収入があった場合に認められます。

 事故前年の所得税確定申告所得額を基準に算定されます。

 ただ、保険会社は、基準通り認めてくれない例が多いです。

家事従事者

 1日につき5,700円。

 主婦の場合は、現実には収入がなくても休業損害が認められます。

自賠責保険と任意保険の休業補償

 自賠責保険では、傷害事故について被害者一人当たり120万円まで支払いが認められております。

 120万円を超える場合は、加害者に請求するか、任意保険の保険会社から超える分を請求します。

入通院慰謝料

 慰謝料とは、精神的苦痛を慰謝するために払われる損害賠償金です。

 入院慰謝料は、裁判所の基準では入院・通院の期間を元に計算されますが、自賠責保険の基準や任意保険の基準は弁護士が交渉する場合の基準や裁判所の計算方法とは異なります。

 保険会社は、弁護士が交渉する場合や裁判基準に比べると低額な自賠責保険基準、任意保険基準を根拠に金額を提示してきますので注意が必要です。

後遺障害

 後遺障害に関する損害賠償には、後遺障害による精神的苦痛に対する後遺障害慰謝料と後遺障害によって仕事が制限されることの補償である逸失利益の2つがあります。

 後遺障害に関する損害賠償は等級認定によって算出されますので、どの等級に認定されるかが極めて重要な要素となります。

 逸失利益は、交通事故前の基礎年収×労働能力喪失割合×労働能力喪失期間という計算式で算出されます。

 保険会社は労働能力喪失割合を少なく見積もって逸失利益を低く算定しようとすることがあり、労働能力喪失期間についてもできる限り短く見積もろうとすることもあります。

 慰謝料は、後遺障害の重さである後遺障害等級によって定まることとなりますが、弁護士が交渉する場合や裁判基準より低い金額を提示してくることが多いです

後遺障害慰謝料

 交通事故で被害者または被害者が死亡した場合の、遺族の精神的・肉体的な苦痛に対し慰謝料が発生します。

 慰謝料の算定基準には自賠責の基準と弁護士会による基準があり、自賠責の基準は入院・通院1日につき4,100円です。

 弁護士が交渉する場合の基準は、最も高くなっております。

逸失利益

 交通事故により怪我をして治療を続けたものの、後遺障害が残った場合はこれまでどおりの仕事ができなくなってしまいます。

 この収入が減った分に対する損害を後遺障害による逸失利益として請求することができます。

 逸失利益の計算方法は原則として、基礎収入額に労働能力の喪失割合を掛けて就労可能年数に応じた喪失期間に対応する係数を掛けて出されます。

 労働能力喪失率は以下の通りです。

介護が必要な場合

等級:第1級、労働能力喪失割合:100%
  1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
等級:第2級、労働能力喪失割合:100%
  1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
  2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

介護を必要としない場合

等級:第1級、労働能力喪失割合:100%
  1. 両眼が失明したもの
  2. 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
  3. 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
  4. 両上肢の用を全廃したもの
  5. 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
  6. 両下肢の用を全廃したもの
等級:第2級、労働能力喪失割合:100%
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
  2. 両眼の視力が0.02以下になったもの
  3. 両上肢を手関節以上で失ったもの
  4. 両下肢を足関節以上で失ったもの
等級:第3級、労働能力喪失割合:100%
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
  2. 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
  3. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  5. 両手の手指の全部を失ったもの
等級:第4級、労働能力喪失割合:92%
  1. 両眼の視力が0.06以下になったもの
  2. 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力を全く失ったもの
  4. 一上肢をひじ関節以上で失ったもの
  5. 一下肢をひざ関節以上で失ったもの
  6. 両手の手指の全部の用を廃したもの
  7. 両足をリスフラン関節以上で失ったもの
等級:第5級、労働能力喪失割合:79%
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
  2. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  3. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  4. 一上肢を手関節以上で失ったもの
  5. 一下肢を足関節以上で失ったもの
  6. 一上肢の用を全廃したもの
  7. 一下肢の用を全廃したもの
  8. 両足の足指の全部を失ったもの
等級:第6級、労働能力喪失割合:67%
  1. 両眼の視力が0.1以下になったもの
  2. 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
  4. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  5. 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
  6. 一上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
  7. 一下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
  8. 一手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの
等級:第7級、労働能力喪失割合:56%
  1. 一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
  2. 両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  3. 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  4. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  5. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  6. 一手の親指を含み3の手指を失ったもの又は親指以外の4の手指を失ったもの
  7. 一手の5の手指又は親指を含み4の手指の用を廃したもの
  8. 一足をリスフラン関節以上で失ったもの
  9. 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  10. 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  11. 両足の足指の全部の用を廃したもの
  12. 外貌に著しい醜状を残すもの
  13. 両側の睾丸を失ったもの
等級:第8級、労働能力喪失割合:45%
  1. 一眼が失明、又は一眼の視力が0.02以下になったもの
  2. 脊柱に運動障害を残すもの
  3. 一手の親指を含み2の手指を失ったもの又は親指以外の3の手指を失ったもの
  4. 一手の親指を含み3の手指の用を廃したもの又は親指以外の4の手指の用を廃したもの
  5. 一下肢を5センチメートル以上短縮したもの
  6. 一上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
  7. 一下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
  8. 一上肢に偽関節を残すもの
  9. 一下肢に偽関節を残すもの
  10. 一足の足指の全部を失ったもの
等級:第9級、労働能力喪失割合:35%
  1. 両眼の視力が0.6以下になったもの
  2. 一眼の視力が0.06以下になったもの
  3. 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  4. 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  5. 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
  6. 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
  7. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  8. 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
  9. 一耳の聴力を全く失ったもの
  10. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  11. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  12. 一手の親指又は親指以外の2の手指を失ったもの
  13. 一手の親指を含み2の手指の用を廃したもの又は親指以外の3の手指の用を廃したもの
  14. 一足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの
  15. 一足の足指の全部の用を廃したもの
  16. 外貌に相当程度の醜状を残すもの
  17. 生殖器に著しい障害を残すもの
等級:第10級、労働能力喪失割合:27%
  1. 一眼の視力が0.1以下になったもの
  2. 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
  3. 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
  4. 14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  5. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
  6. 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
  7. 一手の親指又は親指以外の2の手指の用を廃したもの
  8. 一下肢を3センチメートル以上短縮したもの
  9. 一足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの
  10. 一上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
  11. 一下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
等級:第11級、労働能力喪失割合:20%
  1. 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  4. 10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  5. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
  6. 一耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  7. 脊柱に変形を残すもの
  8. 一手の人差し指、中指指又は薬指を失ったもの
  9. 一足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
  10. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
等級:第12級、労働能力喪失割合:14%
  1. 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  4. 一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
  5. 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
  6. 一上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
  7. 一下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
  8. 長管骨に変形を残すもの
  9. 一手のこ指を失ったもの
  10. 一手の人差し指、中指又は薬指の用を廃したもの
  11. 一足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの
  12. 一足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
  13. 局部に頑固な神経症状を残すもの
  14. 外貌に醜状を残すもの
等級:第13級、労働能力喪失割合:9%
  1. 一眼の視力が0.6以下になったもの
  2. 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
  3. 一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  4. 両眼のまぶたの1部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  5. 五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  6. 一手の子指の用を廃したもの
  7. 一手の親指の指骨の一部を失ったもの
  8. 一下肢を1センチメートル以上短縮したもの
  9. 一足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの
  10. 一足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
  11. 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
等級:第14級、労働能力喪失割合:9%
  1. 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  2. 三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  3. 一耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
  4. 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  5. 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  6. 一手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
  7. 一手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
  8. 一足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの
  9. 局部に神経症状を残すもの
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