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加害者が任意保険に入っていない場合に取りうる手段

無保険車事故の危険の増加

 弁護士の壹岐です。

 交通事故にあって怪我を追った際に相手方が任意保険に加入しておらず、十分な補償が得られないケースがあります。

 そのようなケースで取りうる手段をまとめてみます。

自分の保険からの補償

 「相手の保険がないなら自分の保険」、これはすぐ思いつくでしょう。

 当然、加害者が任意保険に加入していない時に使える無保険車傷害保険や人身傷害保険を使って、治療費や慰謝料の補償を受ける事はできます。

加害者本人への請求

 当然、保険がないから責任がないわけではありません。

 被害者は加害者本人に対して直接、請求することはできます。

 ただ、最終的に示談したり訴訟をして判決を取るなどしても、自動車保険に入っていないのは経済的な理由からである場合が多いので、結果、加害者本人から賠償額を支払ってもらうのは困難な場合が多いです。

 ちなみに、加害者の乗っていた車の所有者が別にいてその人が任意保険に入っている場合などは任保険が使えますが、これは、広い意味での加害者が任意保険に入っている場合と言えるでしょう。

自賠責保険への請求

 ほとんどのケースでは任意保険は入っていなくとも、自賠責保険には入っているでしょう。(入っていない場合でも政府保障事業を使うことができます)

 「とりあえず治療費などは自賠で」と通常なる場合が多いです。

 なお、自賠責保険については、支払い基準というものが定められており、慰謝料は日額4,200円、休業損害は日額5,700円など、金額が決まっており、いわゆる裁判基準よりは低い金額となっています。

※令和2年4月1日以降の交通事故について慰謝料の自賠責基準が4,200円から4,300円、休業損害の自賠責基準が5,700円から6,100円へと引き上げられています。

 しかし、これはあくまで任意の基準であり、被害者が自賠責保険に直接訴訟を提起した場合にはこの支払基準に拘束されず、裁判基準を前提にした判決が出ることになります(最高裁平成18年3月30日)。

 だったら、加害者が任意保険に入っていない場合などは自賠責保険に訴訟提起してしまえばいいのではとも思えますが、自賠責保険は傷害については120万円、後遺障害についても等級に応じて、75(14級)~4,000万円(1級)までというように上限があります。

 また、自賠責保険の支払い基準によれば、重過失減額(被害者に重過失がある場合に限って減額する)というものがありますが、訴訟になった場合、厳密に過失が判断され、軽過失だったとしてもその過失分が減額されます。

 さらには、自賠責で後遺障害等級認定をとっても通常は上限額一杯まで支払われることが多いため、それ以上の請求はできないことが一般的です。

 とすれば、自賠責保険に訴訟提起するのは高齢者で等級認定をとったものの、上限いっぱいまで支払われないケースで過失割合が低い場合など、極めて限定的な場面に限られるでしょう。

おわりに

 結局は相手方が任意保険に入っていない場合には、被害者にとって満足のいく保証が得られない場面が多くあります。

 保険料の負担は無視できない問題ではありますが、事故の被害者になってしまった場合の保障としても事故の加害者となってしまった場合の賠償としても入っておくべきでしょう。

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