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依頼者のこだわりと弁護士としてできること(文責:向井智絵)
依頼者のこだわりと弁護士としてできること
先日終了した案件で、依頼者のこだわりにどうやって応えようか?と考える機会がありましたので、ご報告したいと思います。
この方は、バイクに乗車して交差点を直進走行していたところ、対向車線から右折してきた車両に衝突されてしまいました。
直進車と右折車とでは直進車が優先だし、事故後の加害者や保険会社担当者の対応もあまり良くなかったことから、自分にも過失があるとされるのは納得できないというお気持ちを強くもっていらっしゃいました。
たしかに、右折車よりも直進車が優先ですから右折車が「悪い」ということにはなります。
また、事故後に加害者からきちんとした謝罪がなかったり、加害者に代わって連絡をしてくる保険会社担当者の対応に誠実さが感じられなかったりした場合に、許せない、自分も悪いと認定されるなんて納得できないという気持ちになるのは、とてもよく分かります。
ただ、過失割合は、事故発生時の客観的な事故状況(信号の色、走行速度、衝突した場所、走行経路など)から決まり、どちらかといえば片方が「悪い」場合であっても、割合的に1:9や2:8という認定がされることが多くあります。
今回の場合にも、刑事記録を入手して事故状況を詳細に検討し、これまでの裁判例等を調査してみましたが、依頼者の過失はゼロと認定されることはなかなか難しいものでした。
もちろん示談交渉時、過失ゼロにすべきという理由を詳細に説明して交渉しましたが、やはり、0:10に持って行くことは難しく、1:9まで持って行くのが精一杯でした。
ですが、相手方が過失を主張してくることは当初から想定できていましたので、慰謝料の金額を、いわゆる裁判基準よりも増額して主張し、示談交渉でも一定金額増額を認めてもらいました(※訴訟では増額主張は認められない可能性もあります)。
このような交渉の結果、(過失は1割引かれることになりましたが)、増額を認めず過失ゼロと認定された場合よりも高い金額で示談することができました。
今回は、過失ゼロという「依頼者のこだわり」には正面から応えることができていないのですが、全体的な賠償額を増額させることができ>、弁護士として少しはお力になれたかなと思います。