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後遺障害14級は労働能力喪失率5%じゃない!?

 向井です。

 今回は、相談後に弁護士がやっている仕事のひとつである裁判例の検討についてお話ししたいと思います。

 依頼者は、事故当時プロスポーツ選手だった30代後半の男性です。交通事故で頸椎捻挫等の後遺障害(後遺障害等級14級)を負ってしまいました。

 相談の中で、事故による後遺障害が影響して試合に全く出場することができなくなり引退に追い込まれたという話をお聞きしました。

 既にご存知の方もいらっしゃると思いますが、裁判所は賠償額算定の基礎となる一定の基準をもっており、後遺障害等級14級の場合の労働能力喪失率は5%としています。

 もちろん、何%と主張するかは自由ですが、裁判所を納得させることができればそれより高い喪失率を認定してもらえます。裁判所は、後遺障害の部位や程度が事故当時の職業を継続するために及ぼす影響が大きければ大きいほど、労働能力喪失率を高く認定する傾向があります。

 今回も、労働能力喪失率を高く認定してもらえる可能性がある事案でした。

 ただ、このような一般論だけ主張したのではダメです。

 裁判所を説得させるだけの材料が必要となり、そこで最も重要となるのが過去の裁判例なのです。過去の裁判例を検討し、同じ点や異なる点を相互に比較対照しながら、裁判所が今回の事案についてどのように判断すべきであるかを具体的に述べる必要があります。

 そのような意味で、裁判例の検討は弁護士にとって大変重要な仕事です。

 裁判例を検討したところ、次のような裁判例が見つかりました。

 たとえば、本件の依頼者と同様に14級の認定を受けた事例において、

①.頸部捻挫等の後遺障害(14級)を負ったプロ棋士の53歳女性について、長時間正座ができないことで職業上致命的な影響を受けたとして、裁判所の基準より9%高い喪失率を認定したもの(基準5%→認定14%)(東地平成14年9月26日)

②.頸部捻挫、頸椎不安定症等の後遺障害(14級)を負った33歳のピアノ講師女性について、裁判所の基準より5%高い喪失率を認定したもの(基準5%→認定10%)(神地平成12年11月20日)

がありました。

 また、裁判例を検討していくなかで、労働能力喪失率として高く認定されなくても慰謝料の増額事由として考慮される場合もあることが分かりました。

 たとえば、右足関節の疼痛の後遺障害(14級)を負ったプロサッカー経験者の男性について、事実上プロサッカー選手としての選手生命を絶たれたとして、裁判所の14級の基準額である110万円より高い250万円の慰謝料が認められました。

 このような裁判例を検討した結果、今回の依頼者についても後遺障害等級14級の裁判所基準よりも高い労働能力喪失率、慰謝料が認められる可能性が高いと考え、裁判例を引用しつつ説得的に主張することができたのではないかと思います。

 このように、私たちは、相談の結果増額できる部分があると考えた場合には、その都度裁判例を検討し、依頼者の獲得できる賠償額が少しでも増えるよう努めています。

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