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【事務所コラム】一般的な健常人の関節可動域その①
一般的な健常人の関節可動域その①
可動域制限による運動障害・機能障害の後遺障害認定の際、認定機関である損害保険料率算出機構が「普通の人はどのくらいの可動域なのか」という点から参考にする数値を一部紹介します。
○はじめに
肩、手、股、足首、指など、人には様々な関節がありますが、交通事故に遭った場合、骨折に伴う神経損傷などによって関節部分の可動域が制限され、究極には硬直して動かなくなってしまうといったケースがあります。
このような後遺障害は「運動障害」「機能障害」と呼ばれます。
可動域がどのくらい制限されているかは、左右で可動域の比較ができる場合、負傷したほう(患側)を健康なほう(健側)と比べて判断します
例えば、左肩を負傷して可動域制限が生じている場合には、右肩と比べてどのくらいの割合で制限されているかを見ます。そして、左肩の可動域が右肩の可動域の4分の3以下なら12級、2分の1以下なら10級、といった具合で後遺障害等級が認定される可能性があります。
しかし、右肩にもともと可動域制限(既往症)があり比較対象とすべきでない場合、左右に比較するものがない部位の負傷の場合(首・腰といったの脊柱)などには、一般的な健常人の可動域を参考に、これと比較してどのくらい制限されているかで判断することがあります。
○参考可動域
一般的健常人の可動域として、損害保険料率算出機構で参考にされる角度は、日本整形外科学会と日本リハビリテーション医学会が定めた「関節可動域表示ならびに測定法」の参考可動域です。
この参考可動域について、今回は上半身の主だったところだけ紹介します。
なお、大まかには「立位または座位からどれくらい動くのか」という角度として捉えて構いませんが、実際の後遺障害等級認定のためには、正確な姿勢で、定まった基本軸からの角度を計測する必要がありますので、きちんと専門家に確認してもらう必要があります。
また、この参考可動域は、年齢などを考慮に入れたものではなく、あくまで「参考」です。「この角度まで曲げることができなければ不健康」というものではありませんので、ご安心ください。
首(頸部)の可動域
○前屈 会釈をする動作です。 60°
○後屈 真上を向く動作です。 50°
○回旋 右を向いたり左を向いたりという動作です。 左右各60°~70°
○側屈 首をかしげる動作です。小刻みに動かす必要はありませんがメトロノームのようなイメージです。左右各50°
腰(胸腰部)の可動域
○前屈 お辞儀をする動作です。 45°
○後屈 背伸びのときのようにお辞儀の反対方面に動かします。 30°
○回旋 腰を軸に右を向いたり左を向いたりという動作です。 左右各40°
○側屈 腰を軸にして行うメトロノームのような動作です。 左右各50°
肩の可動域
○屈曲 前方から手を上げます。勢いよく「ハイ!」と言いたくなる動作です。 180°
○伸展 手を後方にやる、屈曲の反対方向への動作です。 50°
○外転 横に向かって手を上げます。小刻みに動かす必要はないですが鳥の羽の動きです。 180°
○外旋 肘を90度曲げて「小さく前へならえ」の状態から外側方向へ手を向けます。お笑いのツッコミの動作です。 60°
○内旋 ツッコミの動作を自分のお腹に向かってしてください。 80°
私が測定をやってみたときには、肩を屈曲する際に「パキっ」と音がしたくらいでした。