福岡の弁護士による交通事故相談は事故に強いたくみ法律事務所へ
0120-043-211
弁護士法人 たくみ法律事務所

自転車同士の交通事故と過失相殺

はじめに

自転車

昨年6月1日、道路交通法が改正され、自転車に対する規制が強化されたことを紹介しました(【事務所コラム】自転車のルールが変わります-平成27年6月1日改正道路交通法)。

今回は、自転車同士の交通事故の場合の過失相殺につき、改正道路交通法違反やその他の事情がどのように評価されるのか、赤本2016下巻「自転車同士の事故の過失相殺基準(第一次試案)」を参考に、簡単に説明したいと思います。

なお、以下の数字はあくまで参考であり、実際の裁判等では、具体的な事情に応じて、上下することがあります。

また、過失割合の基本的な考え方については、【事務所コラム】交通事故の過失割合の決め方と自己防衛手段をご覧ください。

自転車同士の事故の特色

基本的な考え方は、四輪車との事故の場合と同様です。

ただし、自転車同士の事故については、対四輪車との事故とは異なり、弱者/強者の関係にはないため、過失割合の考え方にも若干配慮が必要な場合があります(自転車同士であっても、自転車の性能や走行速度に差がある場合には、さらに別途検討が必要になります)。

過失割合の修正要素

①片手運転

例えば、傘を差す、ものを持つ等の態様で、片手運転をしている場合には、10%の過失が加算される可能性があります。

また、道路交通法70条の安全運転義務違反や各自治体の条例違反として、罰金を課されることもありますので、ご注意ください。

②携帯電話の使用

携帯電話で通話をしたり、メールを打ちながら自転車を運転している場合、20%の過失が加算される可能性があります。

四輪車との事故の場合、携帯電話を使用していた自転車側に加算されるのは、10%とされますので、自転車同士の場合の方が、大きく考慮されていることになります。

③音楽を聞きながらの運転

イヤフォンやヘッドホンを付け、音楽を聞きながら自転車に乗っている場合、過失を10%加算される可能性があります。

自転車の場合、車やバイクと異なり、ミラーがついていないため、特に前方以外の情報を「音」に頼る部分が大きいことが、その理由とされています。

④二人乗り・大きな荷物

これらの場合、バランスが取りにくく、運転が不安定になることから、過失に10%加算されることが予想されます。

この点について、二人乗り運転をしていた先行自転車に、これを追い抜こうとした後続自転車が追突した事案において、先行自転車の過失割合を60%と認定した裁判例も存在します(東京地裁平成22年1月12日自保ジャーナル1827号154頁)。

⑤酒気帯び運転・酒酔い運転

酒気帯び運転については10%、酒酔い運転については20%が、過失に加算されることになります。

酒酔い運転については、事故を起こさずとも罰則の対象となりますので、ご注意ください。

⑥ブレーキ不良

そもそもブレーキを備えていない場合は20%、性能が不十分な場合は10%過失が加算されるおそれがあります。

まとめ

自転車同士の事故であっても、基本的な場合は、その他の場合と変わりません。

ただし、携帯電話の使用など、四輪車との事故とは異なる考慮をされる場合もあります。

自転車同士の交通事故であっても、自動車と同様、高額な賠償額を課されることもありますし、被害者となった場合でも、過失割合が10%異なれば、数百万円から1000万円の差額が生じることもあります。

自転車を運転する場合も、交通ルールと安全確認を強く意識してください。

  • 電話で問合せ
  • メールで問合せ
  • LINEで問合せ

おすすめコンテンツ

後遺障害等級認定サポート
弁護士選びのポイント
ご相談の流れ
弁護士費用