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Q.治療打ち切りを言われましたが、どうしたらいいですか?
A.
交通事故に遭い保険会社の負担で治療を続けていると、保険会社から「もうそろそろではないですか?」と治療費の打ち切りを打診してくることがよくあります。
まだまだ治療が必要だからと治療費の負担をずっとお願いして、いざ治療が終了して示談になった時に、「治療期間が長すぎる」「長すぎた治療費を返してくれ」と言われるケースもあります。
治療費というのは、今後治療を継続しても回復が見込めない状態、つまり治療の終了時点、法律用語では、症状固定時まで支払わなければなりません。
では、症状固定時期はどのように判断されるのでしょうか。
原則として、症状固定時期の判断は、直接診察した医師の判断が尊重されます。
症状固定の判断は、当該障害について一般的にどの程度改善する可能性があり、どの程度の期間を要するのかなどについての医学的知見を踏まえ、直接被害者の治療、経過観察に当たり、当該被害者がどのような症状経過をたどってきたのか、当該被害者は一般的な症状経過のどの段階にあるのかなどについて具体的に検討する必要があるからです。【平成25年損害賠償基準下巻11項】
そして、医師による症状固定時期についての判断が、
- 障害及び症状の内容(むちうちなどの神経症状のみなのか、骨折、脱臼、靭帯損傷などがあるのかにより当然治療期間は異なります)
- 症状の推移(治療による改善が見られている段階では、治療の効果があり、まだ症状固定ではないといえます)
- 治療・処置の内容(治療の内容が適切ではない場合、その結果治療期間が延びていると判断され、本来の症状固定時期は異なっていたといえます)
- 治療経過(通院の頻度が徐々に減っていれば、治療の効果があり、まだ症状固定ではないといえます)
- 検査結果(骨折などの他覚的所見がある場合、ない場合と比べて治療期間は当然長くなります)
- 当該症状につき症状固定に要する通常の期間(一般的に同種の症状の治療期間が比較されます)
- 交通事故の状況(事故による衝撃が大きければ大きいほど、治療期間は長いと考えられます)
等により不合理といえる場合には、別個の症状固定時期が判断されると考えられます【同10項】
症状固定時期の判断は、医師の判断が尊重されますが、あくまで保険会社が治療費をいつまで負担すべきかという法律の判断となります。
保険会社から治療の打ち切りを打診されても、そういうものだと判断せずに、まずは医師や弁護士に相談する必要があるといえるでしょう。