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弁護士に依頼することで賠償額が下がることがある?

はじめに

計算

先日、脊髄損傷で後遺障害7級の認定を受けた方の示談が終了しました。

この方は、後遺障害の認定を受け、保険会社からの提示を受けてからご依頼いただいた方ですが、事故前からの持病の関係で大幅な素因減額の可能性があり、また弁護士費用特約に入っておらず示談金額から弁護士費用を差し引けばご依頼いただくことで被害者の手元に残る示談金額が下がるリスクがありました。

受け取る金額が下がる可能性があるのであれば、弁護士を入れずに示談した方が良い場合もありますので、ご依頼を受けるべきかどうか判断するにあたって、どの程度の素因減額の可能性があるのか詳細な検討を要しました。

この件では、結果的に提示額から約600万円ほど増額することができましたが、その中で問題となった「素因減額」のことについてお話ししたいと思います。

素因減額とは

素因減額とは、被害者がもともと持っていた病気や状態が症状を重くしたり、治療期間を長くしたり、後遺症の残存に影響したと認められる場合に、損害額のうち一定割合を控除するというものです。

ヘルニアや後縦靭帯骨化症、脊柱管狭窄症などは、交通事故における賠償上、「素因」として捉えられる場合が多々あります。

これまでの裁判例によれば、ヘルニアについて「事故前からヘルニアの疾患をかかえた状態にあり、これが本件事故による外力により増悪と考えるのが相当であり、本件事故後の神経症状には以前からあった既往症が影響している」として3割の素因減額を認めた例や、後縦靭帯骨化症について「後縦靭帯骨化症の疾患により頸髄損傷が生じやすい状態にあった」「後縦靭帯骨化症の既往症が損害を拡大した」として、5割もの素因減額がされている例があります。

その中では、事故前に受傷歴があるか、通院治療歴があるか、画像上あらわれた異常所見は外傷性のものなのか、外傷性だとしても今回の事故によるものなのか、今回の事故態様が実際の症状を引き起こすほどのものであったか等の事情が考慮されることとなります。

今回は、ご本人に聴取したところによれば事故以前に受傷歴がなく、通院治療歴もありませんでしたし、画像上あらわれた所見も外傷性によるものであるという前提で治療費等が全額払われており、事故態様としてもスピードが出ている車両同士の衝突という事故でしたので、示談段階で素因減額の主張が出されたとしても、上記要素を持ち出して交渉すれば2割程度に抑えられるだろうという判断に至りました。

弁護士が入らない状態での保険会社からの提示では素因減額せずに提示しているものでも、弁護士が入り慰謝料の金額が上がるようになった際に素因減額の主張をしてきたり、もともと素因減額をしていてもその割合を増やす主張をしてきたりする場合もあります。

ですので、素因が疑われる方については、示談金額の提示を確認し弁護士が入ることで素因減額の主張がされ全体の示談金額が減額することがないかということを慎重に検討しなければなりません

おわりに

このように慎重に検討した結果、被害者のお手元に入る示談金額が提示よりも下がってしまう可能性がある場合には、被害者の方々にとって弁護士に依頼するメリットはありませんので、当事務所ではその旨お伝えし、しっかりご理解・ご納得いただいたうえで依頼するかどうかの判断をしていただくようにしておりますので、相談するか悩まれている方もご安心してご相談していただければと思います。

素因減額が争点となった事例を【解決実績】脊髄損傷で7級の認定を受けた方が示談交渉で約600万円増額できた事案にてご紹介しておりますので、併せてご覧ください。

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