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弁護士法人 たくみ法律事務所

入院したのに入院費が賠償されないことがある?


はじめに

相談風景

先日、交通事故の被害者で入院費の賠償(入院の必要性があるか否か)をめぐって裁判をしていた案件が終了いたしました。

この方は、バイクに乗車中、対向車線から右折してきた乗用車と衝突し、第5腰椎横特記骨折、頚椎捻挫、左膝打撲等の怪我を負い、事故後約60日入院し、退院後約200日間通院をしていました。

当方はもちろん入院に要した医療費や入院雑費を請求し、また、慰謝料についても入院したことを前提に算定した金額(入院は通院に比べて慰謝料が高くなります)で請求していました。

これに対し、相手保険会社は、医学的に入院の必要性はなく(通院での治療で十分)、入院は専ら被害者本人の希望によって行われたものであるから、入院に要した医療費や雑費は賠償しない、慰謝料についても通院の限度で賠償すると主張してきました。

裁判において入院の必要性が否定される場合

裁判において、入院に要した医療費や雑費、入院したことについての慰謝料の賠償が認められるのは医学的に入院の必要性が認められる場合です。

この点について過去に行われた裁判では、医師が入院を指示した時点を基準に、入院が必要であるという医師の判断が明らかに不合理で、医師の有する裁量の範囲を超えた場合に限って、入院の必要性が否定されると判断されています。

つまり、治療が終了した後に振り返って本当に入院が必要であったかを判断するのではなく判断の基準時はあくまでも医師が入院が必要であると判断した時点が基準であり、かつ、その判断が医師の裁量を超える(一般的な医師の判断と比較して明らかにおかしい)というような場合に限って、入院の必要性が否定されることがあるのです。

原文
「医師の診療行為は、専門的な知識と経験に基づき、患者の個体差を考慮しつつ、刻々と変化する病状に応じて行われるものであるから、臨床現場における医師の個別的判断を尊重し、医師に診療についての一定の裁量を認めることが必要である。したがって、医師の施した診療行為が必要適切なものであったか否かを審査するに当たっては、事後的にいかなる診療行為が必要適切であったかを一義的に判断すべきではなく、当該診療行為が、当時の医療水準に照らし明らかに不合理なものであって、医師の有する裁量の範囲を超えたものと認められる場合に限り、過剰な診療行為であったとすべきものである。」

本件の場合

本件の被害者は一人暮らしの男性でした。

事故当日に自宅に一時帰宅した際にも自宅内を一人で歩くことができず(当然自分で何もできない)、知人を自宅に呼び寄せ、友人に抱えられるようにして友人運転の車院へ行き、診察を受けていました。

診察の結果、前述のとおり、骨折が判明し、医師の指示に基づき約60日間入院をしました。

裁判で、当方は、被害者の怪我の程度が重症であること、一人暮らしであって自宅へ戻っても家族のサポートを受けることができずその他親族からのサポートも期待できないこと、これらの事情を踏まえて医師が入院を指示していること等の事情を強く主張しました。

その結果、裁判所も本件で入院の必要性があったと判断し、入院に要した医療費や雑費の賠償が認められ、慰謝料についても入院したことを前提とする当方請求額の賠償が認められました。

おわりに

本件以外にも、入院費の賠償が争いになることは少なくありません。

入院期間中から保険会社が入院費の賠償をしない場合もあれば、いったん入院費の賠償をしたものの示談交渉の時になって翻って入院費を賠償しないと争ってくる場合もあります。

入院に要する医療費はそれ自体が高額であるため、この点が争いになるとなかなかご自身で交渉をすることが難しいかもしれません

お困りの方がいらっしゃいましたら是非一度弊所にご相談ください。

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